BTMUサッカー大会優勝
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叔父のコラム「自己啓発」
自己啓発
日本的経営は、大きな曲がり角に来たようである。その一つに企業内教育がある。従来の日本企業の教育は、OJT(On the Job Training)即ち職場の実地体験を通じた職能訓練は別として、主として会社主導のお仕着せの教育が行われるのが普通であった。特に大企業では精緻な教育体系のもと、社員はそのスケジュールに沿って教育されてきた。今までの環境下ではこの教育システムが大きな成果を挙げてきたことは否定できない。一方的な右上がりの市場において、年功序列・終身雇用という雇用制度の中で、毎年大量の新卒社員を採用し、いわば人材純血主義を守ってきた企業にとっては、会社共同体なる組織に社員をはめ込んでいく画一的教育システムが、必要であり好ましいものであったのだ。
しかし環境は大きく変わろうとしている。市場は成熟化し競争は激化している。また市場は細分化し、変化のスピードは猛烈といってもいい。年功序列・終身雇用なる人事制度は音をたてて崩れようとし、人材の流動化が進みつつある。毎年4月の定期採用さえ再検討している企業が少なくない。社員はプロになり、個人として自立することが求められている。結果の平等でなく、機会の平等が成り立つ人事システムに変わりつつあり、個人の個性がより尊重されようとしている。そんな環境下では、従来の会社お仕着せの画一的な教育システムがうまく機能しなくなるのは当然だ。これからのビジネスマンとしては、このような環境変化を先取りして、まず自ら学ぶ姿勢と覚悟を持つことが重要であろう。
当社でも、“商社は人が財産であり、社員教育を重視する”との社長方針のもと、昨年から数回の管理職研修会その他、全社的な集合教育の場を設けてきている。今後もこれは定期的に実施されることだろうが、その前に重要なのは、OJTも含めて教育の基本を自己啓発に求めることである。会社は最低限の枠組みだけを用意し、あとはプロとしての自覚を持った個人がそれを積極的に活用し、自己啓発していく。今回配布された、提案型営業商品についてのファイルは、商品知識を習得し、営業の作戦を練るのに適切な資料になるであろう。各営業部門での活発な研修と自己啓発を期待したいものである。
ところで、「自己啓発」の“啓発”の語源になったのは、孔子の「論語」にある言葉であり、「啓」と「発」はいずれも導いてわからせるといった意味だ。論語では、理解に行き詰まって腹立たしい感じの状態、あるいは説得に行き詰まってイライラしている状態でないと、人を導いてわからせることが出来ないと言っている。逆に言えば、勉強する気になっている者にちょっとヒントを与えたり手助けをしてやれば教育効果が高まるということだ。こうして“啓発”は、より高い知識や見識、思考をつけるべく勉強、研鑽をする意味となった。
向上への努力を自分自身でやろうというのが自己啓発である。このためには、理解に行き詰まって腹立たしい状態に、自分自身を追い込み、これを自覚し、克服してゆかねばならない。新しい営業商品知識を覚えて、顧客に提案したり、少し難しい仕事を積極的に引き受けたり、などというのはその第一歩だろう。自己啓発の気風が社内にみなぎれば、個々の能力が高まる上にバイタリティーが組織運営に作用して、素晴らしい企業活動が生まれること請け合いだ。(K)
ラーメン二郎歴20年
【書評】ピュリツァー賞 受賞写真 全記録
同じく、この本も読んだ(見た)新鮮な感覚を忘れないうちに雑感
- 作者: ハル・ビュエル,ナショナルジオグラフィック,河野純治
- 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社
- 発売日: 2011/12/15
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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みなとみらいの本屋のケースに飾ってあった瞬間に購入を決断。
報道写真の最高峰と言われる「ピュリツァー賞 受賞写真」のすべてがその事件の解説とともに見れるというのは永久保存版。特に写真をこよなく愛する私としては、ただひたすら何時間でもその写真を眺めているだけでも飽きない。
まず、ピュリツァー賞 で最も有名な写真といえば、1973年、ベトナム戦争でナパーム弾の嵐から逃げ惑う裸の少女を映した写真。
1994年。内戦と飢餓のスーダンにおける、ハゲワシが痩せ細った少女を背後から狙う「ハゲワシと少女」。この写真を撮ったケビン・カーター(南ア)は、世の中の避難を浴びてその後自殺した。
日本人が最初に受賞した作品はこれ。1961年。「舞台上での暗殺」と題された、浅沼社会党委員長の刺殺。長尾靖氏撮影。
それぞれの写真が生み出された社会的な背景とか、写真家の意思、そしてその写真を受け取る我々の意識などを、その時代に生きた人々になったことを想像して色々と考える。
すでに数十年も過去の歴史なのに、衝撃的な現実を目の当たりにすると、言葉を失ってしまう。特に自分が生を受けて、リアルタイムで知っているニュースや事件は心を深く抉るものがある。
凡人の日常には想像すらできない真実がこの世の中には掃いて捨てるほどあるんだろう。ピュリツァー賞に選出された写真は報道写真の数千万枚のうちの一枚だし、第一報道写真としてカメラに残される現実なんて数億分の一の確率だろう。
そもそも、ハゲワシに狙われる少女やナパーム弾から逃げる少女はうちの愚女と何が違うんだ。現実として受け入れるには過酷すぎる現実がファインダーの向こうには広がっていて、それに対して現像されたプリントを見て、どう解釈して行動すれば良いのだろうか。
写真の持つパワーを感じるには十分すぎる一冊である。
【書評】日露戦争、資金調達の戦い
先週末に横浜みなとみらいの本屋で衝動買いをした一冊。
1700円もする。一瞬、逡巡したが、4000円した「ピューリッツァー賞受賞写真全記録」を購入する決断をしており、気が大きくなっていた。
日露戦争、資金調達の戦い: 高橋是清と欧米バンカーたち (新潮選書)
- 作者: 板谷敏彦
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/02/24
- メディア: 単行本
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まがいなりにも、社会人になって資金調達のお手伝いをして16年。日本が日露戦争でどんな調達をロンドンでやってきたのかを知らないのもどうなんだろう。ということで。
NHKのスペシャルドラマ「坂の上の雲」で西田敏行が演じていた記憶があるが、ジェイコブ・シフなる投資銀行家との出会いはこのドラマや、高橋是清自伝で描かれている、物語的なものとはちょっとニュアンスが違うという話。現実的。
450ページもあるので全部読んでないけど、明治時代の日本という国力と海外列強のそれの比較であったり、JGBのクーポンや価格などがタイムに掲載されていて、Cpn.4%の1904年1月時点の価格は@79.5円。ロシア・スペインと同一Cpn.で発行できているが、ロシアの@98.5円。開戦当初はロシアの信用力が圧倒的に日本を上回っていたことが、100年以上昔の金融市場でも把握できていたことなど、非常に興味深い。
何か伝えたいインプリケーションがいくつかあれば、機会を設けて、会社の若い衆に教えてあげたい。